名古屋高等学校Bチーム(赤)と髙田高等学校Aチーム(白)との対戦が面白い!
「季語」×「モノ」の名古屋(全員男子)と、「季語」×「思い」の髙田(全員女子)。
(ご飯を食べたりで前半ちょっと聞き逃してしまい残念!)

<中堅戦>
赤:山霧や羊に鈴のひとつずつ
白:定まらぬアイテンティティー霧の海

<副将戦>
赤:電柱に砂の手触り霧深し
白:気がつけば足元消したような霧

<大将戦>
赤:朝霧や蛇口捻れば舵に似て
白:朝霧や自分探しに意味はなく

僅差の戦いではありましたが、軍配はいずれも名古屋高校に。
特に「電柱」の句は作品点9点連発でした。
最後の、神野紗季さんのコメントが凄く丁寧でうっとり~。
「俳句は十七音の下に、見えない大きな大きなものを隠していて・・・」
深い造詣、あたたかい眼差しを感じるコメント、永遠に聞いていたかったです。
この試合は、両校ともディベートが素晴らしく、切字の効果、助詞の是非、語順・語句が適切か、などの基本的な問いかけに止まらず、季語の季節感についての言及も。その中で、相手の句の良いところを見つけて、さらに深く鑑賞していく名古屋高校のディベートが特に絶賛されていました。
(難波くんの喋りが何とも素敵~!斎藤くんも可愛い!)
私も、「るるる句会」の選評のさいには、こういうふうでありたいなあと(遠い目)。

おっと、次の試合が始まる!しっかり観なくては!!

向陽高校(赤)VS名古屋高校Bチーム(白)

おっ、こちらの会場(キャメリアホール)は垂れ幕に「幟旗」の得点トップ句が!
「受け取ったマイクあいつの汗少し」
まさにこの句を実感する景が繰り広げられています!!

<先鋒戦>
赤:荷台より玉葱一つずつこぼれ
白:玉葱採る校長の手のはつらつと

0-7で名古屋の完全勝利!
講評「玉葱同士の戦い。白は校長という人間を出したのが面白い。本来だったら採るはずのない校長が玉葱を採っている面白さ。赤は景がクッキリ見えます。この零れた玉葱がどうなるんだろうと。そこを詠んだら」

<次鋒戦>
赤:玉葱を吊るす高さに昼の星
白:玉葱の芯みづからを貫かず

3-4で向陽の勝利!「昼の星」を感じるのが「夏」だという言葉に感動。
講評「玉葱から星までいく、引力を感じましたね。そういうのまで見えて来る力。『星』が非常に利いている。『月』ではいけない。『干し柿』ではいけない。白は作者と玉葱が一緒になったような。『貫かず』に理屈が出たかも。」

<中堅戦>
赤:玉葱の皮は小舟となりにけり
白:玉葱を吊るして岐阜の漢なり

1-6で名古屋の勝利!これは私も見た瞬間「好き!」と思った句でした。
講評「岐阜の山河が見えてきて納得感がありました」

<副将戦>
赤:連なりし玉葱揺れて空青し
白:どうか言ひ詰めないで玉葱を剥く

1-6で名古屋の勝利!難波くんの「どうかどうか」が印象的でした。
講評「正反対の対決。客観対主観。健やか対悲観。『空青し』と収めれば何でも気持ち良くなるマジックワードに対して全体にプレーンだったので、もうひとつ押してくるものが必要だった。『言ひ詰めないで』全部言い詰めてしまったら玉葱の芯も自分も無くなってしまうという焦燥感。よりよい読者になるということは、その句の作者になるということ。どういう気持ちでその言葉を置いたのか考えること。それが名古屋のディベートにはあった。それに対して素直な言葉を紡いだ向陽も良かった。」

<大将戦>
赤:玉葱に焦げ目つきたるカレーかな
白:玉葱や魔羅をうつさぬレントゲン

2-5で名古屋の勝利!「魔羅」が女子高生に与えた衝撃は大きかった(笑)。
講評「焦げ目が大事なので、とっても美味しそうなカレーだと。向陽さんは料理に慣れてない子が作ったと言ったが、名古屋さんは美味しそうだと言った。鑑賞が上手(うわて)だと思った。『魔羅』まったく季語が活きているとは思えませんでした(笑)。ちょっと驚かしてやろうという気持ちがなくはなかったと思うんですよ。名古屋さんの、この場で見てすぐ句の良さを言える鑑賞は素晴らしい。是非その姿勢を崩さないでください」

リーグ戦を終え、名古屋高校が決勝へ進出!!
うおお、応援するぞ!!