今治五七五の『俳句チャンネル』ーーー!
オープニングナンバーは「森のくまさん/山野さと子」、
パーソナリティはGさん、すずめさん、まりんさんのお三方です。

冬眠の寝返り聞こゆ地震(なゐ)の闇   砂山恵子
難しいねえ。この「闇」を夜ととるか、動物のいる闇の中なのか迷ったんですけど・・・地震というものの怖さに対する「闇」かも知れませんね。冬眠している動物たちの寝返りと地震をかけているのが面白いですね。

冬眠の蛇も泣きしや一・一七  比良山
これも一・一七だから地震ですね、阪神淡路大震災のことでしょうね。比良山さん優しいね。この「や」は反語だろうか疑問だろうか。疑問なような気がしますね「泣いただろうか」って。あの蛇のつぶらな黒い瞳が閉じたり開いたりしているように見えてきますね。

冬眠や朝日は何色だったかな  桂奈
寝すぎたんでしょうね(笑)。冬眠だからね。それだけ長いこと寝たら、「朝日は何色だったかな」と思うのかな。当分見てないからね。面白い句だよね。
    
冬眠をさせてくれない動物園   今治のまさにいさん
動物園では冬眠させてくれないのかな?動物虐待だよ?錦帯橋の動物園では、白蛇が寝ていたよ・・・ガラス瓶で、半分は土で・・・冬眠しているところが見れるようになってるの。虐待はいかんよ、寝かせてあげてよね。
 
冬眠の間に終われ争いよ  司啓
切なる願いかなぁ、あっちでもこっちでもあるからね。人類の恒久的な願いだよね。次に起きた時には平和な世の中にね。でも無責任じゃないの、とりあえず寝ている間に終わってくれよって何の努力もなし(笑)。

山小屋に星は集ふよ冬眠す   花南天
森の風景よね、きっと。山小屋の写真を見ると、よく星がいっぱい映っていたりするね。山小屋を中心に星が集まっているような・・・。「山小屋」は厳密に言えば夏の季語だけど、この場合は・・・俳句は楽しくということで。

冬眠す従兄弟の家の庭の亀   ゆすらご
これは・・・「亀」の句になってるような気がするね。「従兄弟の家の庭」という情報が要るのか・・・もうちょっと欲しいよね、亀の名前でもいいよ。ご一考ください。

冬眠はムーミン谷の風物詩   松吉
ムーミンは冬眠するんだよ、おさびし山に雪が降ったら、みんなで。妖精だけど。それでスナフキンは旅に出て、春になって帰ってくるんだよ。風物詩と言えば風物詩ですね。

日暮が冬眠やめていいころだ  堅物
「日暮」が、「ひぐらし」かと思ったんだけど、それだと季重なりだし・・・「ひぐれ」かな?日暮れの気温が「もう冬眠をやめてもいい頃だよ」と教えてくれるのかな?音数が・・・もうちょっと整えてもいいかなと・・・ちょっとムツカシイ。もうちょっと読み手に理解してもらえるような言葉がひとつふたつあってもいいかもですね。
    
重詰めの如き冬眠ヤマネかな   みなと
「ヤマネ(冬眠鼠)」が片仮名になってますけど、平仮名の方がいいと思います。狭い木のウロかなんかで五六匹が丸まってぎゅうぎゅうに入ってる。確かに景が浮かびますよ。「重詰め」も季語だけど、これは比喩だから。

冬眠の獣らの息青き夜   彩楓
「獣らの息」は寝息でしょうね。それが星のいっぱい出てる「青き夜」に・・・「息青き」かなとも思いますが、いずれにしても、冷たい、シンとした、張り詰めた空気感を感じますね。

産まれ出て這う冬眠の乳房へと   佐東亜阿介
冬眠しながら産んだの?そんなことあるのかな?自力で出て来たの?そういう種類の獣がいるのかも知れないんですけど、「産まれ出で」がなくても良かったかなと思います。

冬眠や掘り出されたる土器僅か  かつたろー。
長いこと土の中で眠っていた土器が掘り出されたのだと思いますが、「冬眠」ではないよね。「冬眠」とかけるにはちょっと離れているかな。気持ちは分かるけどちょっともったいないかな。

孕み飛鼠容れて冬眠する売家  のんしゃらん
「飛鼠(ひそ)」、蝙蝠のことですね。しみじみとしていい句だなと思ったのは「冬眠する売家」というとちょっと下降線を感じるんだけど、「孕み飛鼠」に春に向けての希望があるような気がする。蝙蝠が入ってるんだから古い家なんでしょうね。「冬眠している売家」ということで擬人化してる。

ここで「ムーミンのテーマ」、選者の一句を挟んで【天】の発表です!

選者の一句
根の伸びる音を枕に冬眠す   まりん

G「彩楓さん。」
すずめ「『孕み飛鼠』。大好き」
まりん「彩楓さんのもすごく好きだったんですけど私も『孕み飛鼠』・・・。春になって転勤とかでまた人が入ったらにぎやかになるんだろうなって」

ということで決定しました!

【天】孕み飛鼠容れて冬眠する売家   のんしゃらん

のんしゃらんさん、おめでとうございます!!
蝙蝠は夏の季語になっていますが、「食虫性の蝙蝠は十一月ころに冬眠に入る。冬眠直前に交尾をおこない、春になって雌が冬眠からさめた段階で受精する。年一回、初夏に、一頭だけ子供を生む。」という解説を読み、冬場の蝙蝠はまさしく妊娠準備中なのだということに衝撃を受けました!
この句の中心は「冬眠する売家」であることが揺るぎなく、「孕み飛鼠」のおかげでその家や周辺の雰囲気が脳内に構築されていくのがいいですね。屋根裏に棲みついた蝙蝠の、小さな命の脈動が、静まり返った売家の空間にあたたかみを与えています。その脈動に呼応するように、どっしり構えている梁や大黒柱も浮かび上がってきました。この家にもやがてまた人が来る。その時まで静かに眠るのです。
私はと言えば、またまた投句出来ず
『俳句ポスト』の「冬眠」でも三句しか投句出来ていなくて・・・さらに絞り出すことが出来ませんでした
冬眠している間に成長している・・・ということを詠みたくて、「根」も頭にはありましたが上手くまとめきれなかったので、選者の一句は大いに勉強になりました!「枕に」という表現が私からは出て来なかったです。
あ~~~~、今ならまた何か「冬眠」の句が詠めそうな(こればっかり)。
次回、次回は頑張ります!

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春潮」と「土筆」です。
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